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法人の役員が負う社会的な責任について

 役員と聞くと、なんだかカッコいいイメージがあるかもしれません。でも、実はその立場には、結構シビアなルールと責任がついてくるんです。

ただ会議に出てハンコを押すだけ…なんてことはありません。

役員は組織の未来を左右する決断をする立場。その分、法的にも社会的にも厳しい目で見られるんです。今回は、そんな役員の“義務と責任”について、わかりやすくお話ししてみます。

役員の基本的な義務

 役員には、以下のような基本的な義務が課されています。

1.善管注意義務 善良な管理者としての注意を払い、会社や組織の利益のために職務を遂する義務です。

  これは、役員がその職務において専門性や誠実さを発揮し、不注意や怠慢を避けることを要求します。

2.忠実義務 会社の利益を最優先に考え、自己利益や第三者の利益のために行動しない義務です。例えば

  役員が会社の利益に反する自己取引を行った場合、忠実義務違反に問われる可能性があります。

3.競業避止義務 会社と競業関係にある事業を行わない、または利害が対立する状況を避ける義務です。

  これは、会社の利益を保護し、役員の行動が公正であることを保証するためのものです。

4.情報開示義務 役員は、株主や利害関係者に対して適切に情報を開示する責任を負います。

  透明性を確保することで、組織の信頼性とガバナンスの質を高めることが求められます。


役員の責任

 役員がその義務を怠った場合、法的な責任を問われることがあります。

1.損害賠償責任 役員がその職務を怠り、会社や第三者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性が

  あります。特に、株主代表訴訟により責任が追及されるケースも増えています。

2.刑事責任 法律に違反する行為(例えば、粉飾決算や内部情報の不正利用)が発覚した場合、刑事責任を

  問われることもあります。

3.行政責任 法令に基づく報告義務違反や規制違反などにより、行政処分を受ける場合があります。


実務における注意点

 役員がその義務と責任を果たすためには、以下のような実務的な対策が有効です。

内部統制の強化 ガバナンスの仕組みを整備し、役員の意思決定や監視プロセスを透明化することで、リス

 クを軽減できます。

専門家の活用 弁護士や会計士といった専門家の意見を取り入れ、法的・財務的なリスクを事前に把握する

 ことが重要です。

役員教育の実施 法改正やガバナンスの最新トレンドを踏まえた役員研修を実施し、知識のアップデートを

 図ります。


まとめ

役員の義務と責任は、組織をしっかり回していくための大事な柱みたいなものです。その立場を理解して、義務と責任を果たすことで、組織の信頼度も競争力もグンとアップします。これを怠ると法的なトラブルや社会的信用を失う危険もあり、慎重な判断と行動が求められますね。

令和6年度の税制改正において、株式会社の役員等が負う第二次納税義務に関する重要な整備が行われました。具体的には、偽りその他不正の行為によって国税を免れ、または還付を受けた株式会社、合資会社、合同会社がその国税を納付していない場合、徴収不足が認められるときは、次の者が第二次納税義務を負うこととなります。

その法人の50%を超える株式等を保有するなどして、その法人を支配している役員等で、不正を実行し、財産の移転を受けたり財産を外部へ移転した者

この改正は、令和7年1月1日以降に滞納となった国税について適用されます。詳細は財務省の「令和6年度税制改正の大綱」に記載されています。


改正以前は、会社の役員や株主の責任については、やや包括的であいまいな面があり、役員や株主がどの範囲で責任を負うかが問題視されることがありました。今回の改正では、「不正行為」による責任を明確化し、また適用範囲を合理的に制限する方向で整備されています。