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声のしない税務署?──業務センター化で届出実務はどう変わったか

令和7年7月、税務署内部の事務を集約する「業務センター化」の動きが、さらに全国的に広がりました。
紙での提出物は、従来の税務署ではなく、各地の業務センターへ送付する仕組みに変わりつつあります。
一見すると、「電子申告が主流だから、あまり変わらないのでは?」と思う方も多いかもしれません。
しかし、実務の現場ではじわじわと、感覚的な変化を感じる場面が増えてきました。
■ “処理の流れ”が見えづらくなった
これまでは、電子で申請した後に少し不安を感じたとき、「今どんな状況ですか?」と税務署に電話して様子をうかがうことができました。
ところが現在は、受付やチェックが業務センターで行われており、管轄署との連携がどのタイミングで行われているのかが見えにくくなっています。
特に「青色申告承認申請書」や「課税売上割合に準ずる割合の承認申請書」など、期限や承認が重要な届出については、
“ちゃんと届いているのか”“処理が進んでいるのか”といった確認がしづらく、少し落ち着かない感覚を覚えることがあります。
■ 相談の行き先がぼんやりしてきた
もう一つ感じるのは、軽い相談や確認の「行き先」がはっきりしなくなったことです。
たとえば、以前なら「この欄の書き方で大丈夫ですか?」と電話一本で確認できたような内容も、
今では「それは業務センター処理なので…」と案内されることがあり、どこに問い合わせればよいのか迷う場面が増えています。
もちろん、処理体制が整理されていること自体は理解できます。
ただ、実務家の立場からすると、センターと税務署のどちらに聞くべきかをその都度判断し、連絡先を探す手間が増えたように感じます。
“ふんわりと断絶している感じ”というのが、今の正直な印象です。
■ 実務家としての肌感
業務センター化の目的が「効率化」にあるのは当然であり、全体の合理化という意味では時代の流れなのでしょう。
ただ一方で、私たち実務家が日々感じているのは、“処理の透明さ”や“確認のしやすさ”といった安心感が少し遠のいたことです。
行政の仕組みが変わる中で、現場の声がどう反映されていくのか。
今後、よりスムーズで安心できる届出の流れが整っていくことを期待しています。