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「外資系企業のRSU税務処理を徹底解説!給与所得課税とキャピタルゲイン、そして日本法人の関与の影響」

1. はじめに

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、外資系企業で特に採用されている株式報酬制度です。RSUは従業員に株式を付与するインセンティブとして機能し、一定の条件を満たした後に権利が確定(Vest)します。

本記事では、外資系企業の日本法人に勤務する従業員が、親会社からRSUを付与された場合を前提に、税務処理のポイントを解説します。通常、RSUの管理は外国の親会社が直接行い、日本法人が関与しないケースが多いですが、一部の外資系企業では、日本法人が課税処理を代行する場合もあります。

この記事では、日本法人が関与しない場合と関与する場合の2つのケースを比較し、それぞれの税務処理の流れについて具体例を交えて説明します。


2. RSUとは?

• RSUの基本的な仕組み
RSUは株式報酬の一種で、一定期間の勤務や業績条件を達成すると権利が確定(Vest)し、付与された株式を自由に売却できるようになります。


• 課税のポイント
RSUには主に次の2つの課税タイミングがあります。

 1.Vest時点: 株式が給与所得として課税されます。

 2.売却時点: 株式を売却した際、譲渡所得(キャピタルゲイン)が課税されます。

RSUは、報酬としての魅力が高い一方で、税務処理が複雑になりやすいため、正確な理解が必要です。


3. 日本法人の関与の有無による2つのケース

ケース1: 日本法人が関与しない場合(親会社が直接管理)

外資系企業で一般的なケースでは、親会社がRSUの管理を直接行い、日本法人は関与しません。この場合、以下の手続きが必要になります。

• Vest時点: 従業員自身が確定申告を行い、給与所得として課税処理をします。
• 売却時点: 株式を売却した際に発生するキャピタルゲイン(譲渡所得)についても、従業員が確定申告を行います。


ケース2: 日本法人が関与する場合

一部の外資系企業では、日本法人がRSUの課税処理に深く関与し、Vest時点で源泉徴収を行う場合があります。

• Vest時点: 日本法人が給与所得として課税額を計算し源泉徴収します。従業員は追加の申告を行う必要がありません。
• 売却時点: 売却益に対する譲渡所得税のみ、従業員が確定申告で対応します。


4.ケースごとの課税フロー

ケース1: 日本法人が関与しない場合

[Vest時点]
 株価 × 株式数 × 為替レート = 給与所得額
 → 従業員が確定申告で課税処理

[売却時点]
 売却額 - Vest時点の課税済み取得価格 = 譲渡所得
 → 譲渡所得税を従業員が申告


ケース2: 日本法人が関与する場合

[Vest時点]

  株価 × 株式数 × 為替レート = 給与所得額 

  → 日本法人が源泉徴収

[売却時点]

  売却額 - Vest時点の課税済み取得価格 = 譲渡所得 

  → 譲渡所得税を従業員が申告


5.実例を用いた具体的な課税計算

条件

• RSUの付与株数: 100株
• Vest時点の株価: $50
• 売却時の株価: $70
• Vest時の為替: 1ドル=120円
• 売却時の為替: 1ドル=125円

ケース1: 日本法人が関与しない場合

1.Vest時点の給与所得額
$50 × 100 × 120円 = 60万円
→ 従業員が確定申告で所得税+住民税を納付。

2.売却時のキャピタルゲイン
($70 × 100 × 125円) - (60万円) = 27万5千円
→ 譲渡所得税20.315%を納付。


ケース2: 日本法人が関与する場合

1.Vest時点の給与所得額
同じく60万円だが、日本法人が源泉徴収済み。

2.売却時のキャピタルゲイン
同じく27万5千円に譲渡所得税が課税。


6.注意すべきポイント

1.管理主体を確認すること
自分のRSUが日本法人の管理下にあるか、海外親会社が直接管理しているかを把握することが重要です。

2.為替リスクへの備え
Vest時点と売却時点の為替レートの変動により、課税額が大きく変わる可能性があります。

3.記録の保存
Vest時点の株価、為替レート、売却時の取引明細を正確に記録しておきましょう。


7.まとめ

RSUの税務処理は、外資系企業の管理体制によって大きく異なります。特に日本法人が関与するかどうかが、従業員の負担に直結します。

• 日本法人が関与しない場合: Vest時と売却時の2段階で確定申告が必要。
• 日本法人が関与する場合: Vest時点の税務処理が簡略化され、売却時のみ申告が必要。

正確な情報と記録を基に、適切に税務処理を行うことが、RSU活用の鍵となります。困った場合は税理士などの専門家に相談することをお勧めします。