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約束手形の利用廃止について(2026年廃止方針)

・約束手形とは?

代金を支払う振出人が受取人に対して、手形に書かれた期日に金額の支払を約束する証券の事です。

その歴史は古く、手形自体は12世紀のイタリアで誕生したというのですから驚きです。

日本では江戸時代から手形という商習慣があり、昭和7年(1932年)に手形法が整備され、高度経済成長期に企業の資金需要が増加し約束手形が大活躍しました。

大活躍の背景には金融機関の融資が追い付かないという事があり、手元の資金が不足していても事業の継続が可能となる約束手形が採用される様になったというので、改めて日本の高度成長期が如何に凄かったのか驚かされますね。

そんな高度経済成長期を支えた約束手形ですが、2021年2月に経済産業省から「廃止していくべき」という方針が打ち出されました。

では、約束手形にはどの様な問題があったのでしょうか?

約束手形による支払いの問題点

①現金が手元に入るまでの期間が長い

令和2年に経済産業省が行ったアンケートによると、現金振込のサイトが約50日であるのに対し、約束手形は約100日と現金取引と比べて約2倍の長さ。現金の支払期日に約束手形が振り出される取引も多く、その場合は3倍の長さ(約150日)となります。

これは諸外国と比べても長く、外国では主に支払サイトが短い銀行振込や、クレジットカード決済が主流であり、資金繰りの負担が少ない取引が多い様です。

②支払期限前に現金化する際の割引料が高い

約束手形と聞くと、「期限前の割引手数料が高いんだよなぁ~」といった事が頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。

料金は取扱金融機関によって定められていますが、1枚あたりに換算して、用紙交付手数料 (振出側が負担)が66円から220円であるのに対し、取立手数料(受取側が負担)は770円から880円であるなど、取引上立場の弱い受注側企業に対する資金繰りのしわ寄せになっています。

こう言った点も、約束手形の利用廃止に向けての取り組みがされた経緯ではないでしょうか。

上記の表を見ても、受取人のデメリットが多いことが分かります。

デメリットの多い約束手形ですが、支払いを受けるまで時間がかかる建設業は資金繰りの改善ができるという点や、販売先が多く個別の振込手続きが多い卸売業などは、今後も継続して使われやすい傾向にあるかと思います。

・最後に...

2021年に廃止の方針が打ち出されてから、約2年半が経過し「【約束手形】の代わりに【電子記録債権】の扱いを初めました。」という企業様が増えてきた様に思います。

導入されたきっかけは、事務コストの削減。管理リスクの軽減(紛失など)・印紙代や郵送料等の削減・取引先が導入したからといった内容でした。

一方で、取引先が「電子記録債権」に対応しておらず「約束手形」と「電子記録債権」を半分半分という状態の企業様もまだまだいらっしゃいます。

2026年まであと3年。「電子記録債権」がまだという方はこの機会にご検討してみてはいかがでしょうか。